負けからの再生
Nakigoe

大地よ,私の血を覆わないでくれ!私の叫び声がいつまでも響け!

大災害

最悪の夏だった。普通に酷く。悪魔の様な夏。吐くの様な夏。朝から夜まで、40年間の生地獄。

(直継)うほ… やっぱし生で見ると
迫力ありすぎ祭り。
(フェデリコ)七なる庭園のルセアート。
(ヴォイネン)偵察隊の報告どおり
こいつも ヘイロースにいたのと
そっくりですね。
さっさと終わらせて
チキン ありつこ~ぜ。
さっさとは いかないだろうけど
打ち合わせどおりに進めれば
何とかなるはずだよ。
(てとら)で? ぶちゃけ勝率は?
シロエさん。
五分と… 五分。
(オープニングテーマ)
…20m圏内に入りました!
気を付けて!
(ディンクロン)来い!
ぐぉぉおお…!
(浮世)ヒール!
(東湖)障壁 張ります!
射程内 到達!
アンカー・ハウル!
(念話・ウィリアム=マサチューセッツ)
っしゃ! いくぜ レイダーども!
攻撃 開始ィィ!
(ウィリアム)第3 第4は 火力重視!
第2の前衛は 追従
他は 第1のメイン盾を
補助と アタッカーのバフ!
いけない!
(念話)警戒!
ルセアートのモーションに注意!
ぬおおお!
わきゃ~っ!
…即死 2。 クリティカルの条件不明
前衛のバフを強化!
細雪 カウントォ!
(細雪)1 2…。
(念話・ウィリアム)
二人の蘇生と 手負いの
回復の間は 遠距離で削れ!
今の特技 見覚えはありますが。
ヘイロースの時とは段違い。
(順三)
モーションから発動までが 短いな。
23 24…。
(エルテンディスカ)来ます!
(羅喉丸)下がれ 下がれ!
(念話)…いや モーションが違う。
別の技です!
(プロメシュース)一撃一撃が 重い…!
(ポロロッカ)位置取りミスっても
即死だな。
(念話・細雪)88 89 90…。
来る!
防御!
セイクリッドウォール!
サンクチュアリ!
(ハイランドスカイ)
しのいだら 即カウンターだな!
合点しょ~ちのスケ!
…即死 ゼロ!
リキャスト・タイム 90秒!
(デミクァス)さっさと回復させろ!
やってるってば~。
(念話・ウィリアム)
回復 障壁 済んだ奴から
ガンガン行けぇ!
特技発動後は スキだらけだな!
(中居河太郎)
こちらも 攻撃に回ります!
二発目で もう即死ナシか
大したモンだぜ。
(念話)うん。
さすがの対応の早さだね。
ダメージ あげろォ!
ちんたらしてんじゃねぇ。
回転上げて 削れぇぇ!
クロス・スラッシュ!
(フェデリコ)ラウンドウィンドミル!
(デミクァス)ターニングスワロー!
(えんかーたんと)レゾナンス・ビート!
立ち上がり 順調ですね!
(爆発音)
一拍待て! DPS 上げすぎだ!
このままじゃ ヘイトが…
これは… 行動
いや 移動阻害!
(ボロネーゼ親方)
奴の足元から わいておるぞ!
(ハイランドスカイ)う 動けね~っす!
(ディンクロン)ダメージあり! 属性 邪毒!
(念話・ディンクロン)
攻撃速度 及び 威力も低下!
 心の声 
これも ヘイロースに無かったパターンだ。
ダメージは 小さいようだけど…。
(ディンクロン)アンカー・ハウル!
んな? 無視!?
アンカー・ハウルが 通じてない…?
(ウィリアム)ダメージの小さい
広範囲拘束攻撃…!
危ない!
(念話・ウィリアム)範囲遮断!
範囲回復! 踏ん張れぇっ!
ヤベ…!
うわっ!
うっ!
アッ オイ!
(念話)
…し 死亡 10 いや 11…!
…第1のヒーラーは 前線維持
第2 下がって蘇生復旧
3 4は ダメージ落とせ 7割だ。
復旧優先…!
へへ… 面白ぇ…!
これこそ レイドだぜ!
(デミクァス)ライトニングストレェェトォォ!
ワイヴァーンキィィック!
ヤロォ…。
カベ役 スイッチ!
直継 引きつけろ!
任せとけ祭り!
こっち向きやがれ デカイのォ!
ダメージ蓄積からの モードチェンジ…。
前は ダンジョンギミックでの
発動だったけど。
(念話・浮世)こっちのは
自在に使えるってわけね。
(念話・ヴォイネン)
真・白騎士モードってとこですかね。
(念話)これからです。
…気を抜かないで!
(ボロネーゼ親方)偵察隊の報告どおり
鎧の破片が モンスターになりおった。
(フェデリコ)
ったく うじゃうじゃと…。
メンドいな コイツら。
ザコなんざ 大した事ねぇ
いけるぜ!
前衛は レイドモブを引きつけろ!
他は ルセアートに攻撃を集中!
ぬん!
うおっと!
ぬぐ!
オラァ!
…あン?
ナンだ…。
アッチャ~ マズイよ 直継さん。
マジかよ…!
HPが 回復してやがる。
なるほど。
影の先兵を 一体倒すごとに
ルセアートのHPが 回復するのか。
おい! 黒騎士モードに戻ってるぞ!
せわしない奴だ。
88 89 90…!
待て待て
こいつら 邪魔…!
(一同)どわ~…!
ちまちま回復しよ~が
カンケーねえ!
回復が追いつかね~勢いで殴れ!
削れぇっ!
(デミクァス)何でぇ またかよ!
(ボロネーゼ親方)これは やっかい。
せいっ!
はわっ!
わ~い キリがないですねェ。
全員で デカイ方 殴りゃ
いいだろ~が!
影の先兵は 無視できない!
一撃の重さは
後衛職の脅威になる。
下手すれば 連携が崩壊する!
(念話)問題は 人数だ。
黒騎士モードのルセアートに
ダメージを与えた人数と同じだけ
影の先兵が生まれる。
ほうほう って事は…。
攻撃は 高いダメージを
たたき出す者に絞り 人数を抑え
他のメンバーは 補助に徹すれば…。
フン!
タア!
(念話)出現する影の先兵を
10体前後までで コントロールできる。
聞いたであろう
倒さぬよう 引きつけろ!
分かってらぁ!
ぬぐ…。
 心の声 
悔しいが…
今の俺じゃ 奴に勝てねェ。
いや… 許したわけじゃねぇ。
いつか ぶっ潰してやる。
その時は みんなの前でだ。
青白いそのツラを 叩きのめして
後悔の涙に 暮れさせてやる!
残りHP 5割ちょいだよ!
よし いけそうですね!
 心の声 (デミクァス)このレイドで
幻想級を 手に入れて…!
レベルを上げ 技を磨き…!
(ゲートが開く音)
 心の声 
(デミクァス)エンチャンター… クソエンクのシロエ!
いつか お前を…!
69 70 70…
なっ!?
(ウィリアム)んなっ…!? こいつは…
タルタウルガーだと!?
え…!?
(浮世)キャーッ!
イブラ・ハブラだよ~!?
(東湖)そんなバカな!
ここは ルセアートのゾーンですよ!?
んな… ありえね~だろ
こんなん…。
レイドボスが…。
同時に 3体だと…!?
(ポロロッカ)何でだよ!
汚ねぇぞ!
(軟体@アキバ)レイドボスは1体ずつ
それが ルールでは!?
正々堂々と…。
(ウィリアム)…ザケンなよ
ムリゲーかっつ~の…
こんなもん… 勝てっこねぇ…!
(デミクァス)シロエェェェ!
うわ?
シロ!
へっ… ざまァみろ
とんだ間抜けヅラだぜ。
(シロエ 直継)うわっ!
(クリスマスソング)
え…? ここは…。
 心の声 
…僕の街?
僕が生まれて育った…。
看板が…?
何て店だっけ…。
 心の声 
ああ そうか…
記憶を失うって こういう事か…。
そうだ 僕は死んだんだ…。
 心の声 
これといって
特徴のない町だった。
住むのに不便はない。
でも
ちょっと何かを探そうと思うと
都心に出なければならない。
小さな 普通の よくある町。
(ドアが開く音)
…あ。
 心の声 
僕だ。
 心の声 
両親が共働きだった僕は
よく家を抜け出し
夜の街を 歩き回っていた。
一人で過ごす家は
ベッドの中にいても
つらい気持ちが
追いかけてきた。
繁華街に行くのは 怖かった。
それで…。
 心の声 
たくさんの夜を
このベンチで過ごした。
何かイヤな気持ちになった時
それを忘れるには
そうするしかなかったんだ。
…そうか。 だから
ここに来たんだ
また 失敗しちゃったから…。
 心の声 
…大人びた子供だって
よく言われてた。
確かに 年の割に理解力も
自制心もあったと思う。
でも そのせいで
自分から 同世代の子たちと
距離を置いてしまった。
(ため息)
 心の声 
…たくさんの間違いを犯した。
他人の親切を
バカにしてしまった。
差し伸べられた手を
振り払ってしまった。
踏みとどまって
戦わなければならない場所を
投げ出してしまった。
両親の苦労や 気持ちを
分かってあげる事ができなかった。
 心の声 
どれも ささいで
取り返しのつかない失敗だ。
その度に ここに来て
僕は泣いていた。
もう二度としないと誓っても
また繰り返して…。
 回想 
死ぬと いろいろ分かんだよ。
下手くそとか セコいとことか
つまんね~とことか。
百回 死ねば
百回 分かんだよ。
それが つらくて
続かねえんだ。
 心の声 
そうか。 死ぬって
こういう事だったんだ。
死にたい気持ちに
なるという事…。
それなら 何度だって味わった。
大切にしていたノートを捨てた夜も
作り笑顔で いってらっしゃいを
言った夜も
図書館に お別れをした夜も…
何度も 何度も味わった…。
デミクァスは なぜ
僕を突き飛ばしたんだろう?
ウィリアムは なぜ 僕の頼みを
引き受けてくれたんだろう?
直継は どうして 僕に
ついてきてくれたんだろう…。
僕は 僕を信じてくれる
大切な人たちにも
隠し事を しているのに。
 回想 
(ミノリ)ミナミのスパイが アキバに
入り込んでいる可能性もある…
どこから情報が漏れるか
分からない という事ですね?
正解。
 心の声 
…僕が 本当に警戒しているのは
ミナミじゃない。
この世界には 僕たち冒険者と
大地人の他に ナニかがいる。
僕たちを この世界へと連れて来た
3番目の誰かが…
…その誰かが
何者かを知るために
円卓会議のコネを利用して
調査を続けた。
ロデリックさんには
フレーバーテキストの可能性を。
ソウジロウには
モンスターの生体変化を。
ミチタカさんには
南方の植物についてを。
カラシンさんには イースタルの
民間説話の収集と整理を。
もちろん 調査の本当の目的は
明かさないまま。
う~ん…。
 心の声 
集められた資料の数々は
この世界に 第三者などいないと
思わせるものばかりだった。
けど…。
タイミングよく現れた証拠は
僕が そう思うよう
用意されたモノに思えた。
(苦笑)
 心の声 
それも 言い訳だな。
心配をかけまいと
思っての事だとしても
迷惑をかけている事に
変わりはない。
…あの時 二人が待っていてくれた
ように みんなも きっと…
僕が
一人で 遠ざかっていただけで
もっと ちゃんと みんなと
向き合うべきだったんだ。
…菫星さんにも。
 心の声 
疑って 言葉を惜しんだ。
本心を明かして
もっと 話すべきだったんだ。
…?
…そう。
そうだよね。
もう行かなくちゃ ダメだよね…。
このベンチから立ち上がって
みんなの所へ…。
…あ。 …地球?
じゃあ ここは 月…?
 心の声 
ラテン語… 確か 静かな海…
やっぱり月だ。 でも なんで…
もしかして テストサーバー?
…ゲームである エルダー・テイルは
その全域を
13のサーバーで分割管理していた。
テストサーバーは そこに正式に
加わっていない 14番目のサーバーだ。
月にあるって 噂では聞いてたけど
まさか本当に…。
こんなに静かな所だとは
思わなかったよ。
(アカツキ)うん…。
(クリスタルが響く音)
(クリスタルの音)
何か… 消えてった…。
感じたのか? 主君も。
アカツキ。
(波の音)
すごいね。
雪… では ないのだな。
うん…。
みんなの思い…。
ささげられた記憶の欠片。
もう一度 立ち上がるために…。
アカツキは 倒れちゃったの?
そっか 僕もなんだよね。
死んじゃった。
主君もか。
うん。
本当に さんざんな
クリスマス・イブだったな… 主君。
失敗した。 見込みが甘かった。
信じ切れなかった。
私は 分かっていない。
…勝てなかった事が
悔しいわけでは ない。
そのために
最善を つくさなかった。
なすべき事を なさなかった。
 心の声 
アカツキ 君は倒れたかもしれない。
けど
まだ負けては いないんだね。
大丈夫。 僕が分かってる。
君が頑張ってるって
僕が 分かってるよ。
だから 僕も…。
…不思議だなぁ。 ここで アカツキに
会えるだなんて 思わなかった。
うん 主君。 不思議だ。
もう一度 やろうと思う。
僕も もう一度かな。
…みんなに教えられた。
主君…。
(水滴が落ちた音)
<こうして 僕は蘇った>
(エンディングテーマ)
(ウィリアム=マサチューセッツ)
…ザケンなよ ムリゲーかっつの。
(オープニングテーマ)
 心の声 
(ウィリアム)負けた…
俺たちは 負けたんだ…。
(ディンクロン)こんなの ありかよ?
(東湖)レイドボスが いっぺんに
三体も現れるなんて…。
(ハイランドスカイ)あんまりだ…。
(浮世)一体なんなのよ あれ…?
(ピアニッシモ)こ… ここだけ
なんでしょうか?
(ヴォイネン)そうですね
他のレイドゾーンも みんな
こんなふうになってたら…。
(えんかーたんと)
不可能… ですね~。
(ボロネーゼ親方)
あぁ レイドに勝利する事など…
もはや 到底できん。
(オーディソ)う うぅ…。
(ポロロッカ)
俺たち 今まで必死になって
何を…。
(中居河太郎)訓練して
装備を集めて 連携して
失敗して やり直して…。
(アザレア)うまくいった時は
うれしかったよなぁ。
成長したって思えたし…。
(エルテンディスカ)そういうの
もう無くなっちゃったんだね。
ぐすっ…。
(羅喉丸)あぁ… 意味ねぇよ。
もう何やったって無駄だ…。
(プロメシュース)
俺たちは 見捨てられたんだよ
ゲームに… エルダー・テイルにな。
(クラスメートA)で それって
何の役に立つの?
(クラスメートB)へ~ ゲーム? ふ~ん。
(クラスメートC)今どき PCで?
ソシャゲで よくね?
(クラスメートD)休日に 家にいるの?
くそ食らえだ…。
(クラスメートE)お前 カラオケとか
誘われなさそうだもんな。
(クラスメートF)それって パソコンに
話しかけんでしょ? わ~。
(クラスメートG)もっと 将来の役に立つ
趣味にすれば?
(クラスメートH)
まあ そういう人もいるよね。
いいんじゃね?
くそ食らえだ。
あ…。
 心の声 
何を言えば いい?
次は勝てるから 頑張ろう…
他のレイドゾーンなら 大丈夫だ…
うそだ
んな事 言えねぇ。
ちょっと待てよ。 どういう事だ?
じゃあ 俺たちは ここで…。
(フェデリコ)
これで 終わりかよ。
(順三)ススキノに帰って 治安維持の
善良ギルドにでもなるか…。
それも いいかもしれませんね。
(軟体系@アキバ)
エッゾは モンスターも多いですしね。
(細雪)
大地人には 感謝されるな。
(ハイランドスカイ)
大地人の彼女が 出来たりして。
アハ…。
それが
賢い生き方ってヤツかもな…。
(ウィリアム)そうかもしれない…。
 心の声 
でも それじゃあ
アイツらと同じじゃねぇか…。
分かったふうな顔をして
ありがてぇアドバイスとやらを
してきやがった アイツらと…。
(ウィリアム)そうなんだろうな。
そのとおりだと思うよ…
でも それがどうした…
くそ食らえだ。
…ウィリアム?
負けちまったぜ。
全滅だ… もう おしまいかもな。
無駄だったんだろう。
連中が いつも言うように
俺たちが 馬鹿で
愚にもつかない事を
やり続けてきただけなんだろうよ。
引きこもりの ゲームジャンキーだ。
廃人だぜ。
でも それがどうした
そんな事 先刻ご承知なんだ。
分かってて やってるんだ。
でも 俺たちは ゲームが好きなんだ。
これを 選んだんだ。
 心の声 
これで 終わりでもいい。
だがよ 譲れねぇ…
譲っちゃいけねぇもんってのが
あるんだよ。
大した事ないさ
レイドに負けただけだ。
そんな事は よくある事だ。
ショックを受ける必要なんてない。
だって こんなのサーバーに記録された
勝敗データが
一個 増えるか増えないか
ってだけの事じゃないか…
ゲームなんて 子供の遊びだ。
 心の声 
違う 俺にとっちゃ特別だった。
そろそろ大人になって 街に戻れよ
なんて事は言わない。
誰にだって 言わせない。
俺らは負けて 糞虫で
サイテーかもしれないけど
神様にだって
無駄だったなんて言わせねぇ。
 心の声 
そう 俺にとっちゃ
宇宙の中心だ。
(ウィリアム)
サーバに記録されたビットの情報に
何の意味が あるかって?
あるんだよ 意味が。
俺があるって決めたんだ。
それは 凄くて素晴らしいもんだ
って 俺が決めたんだよ。
神様の決めた
正しい価値ってもんが あって
それが 万人に通じるはずだとか
そういう与太を信じてる連中には
分からねぇよ。
どんなにアホに見えたって
偽物じみた 金ぴかだって
俺が 俺たちが
それは凄いって思ったら
それは 凄いんだよ。
それが 選ぶって事じゃね~か。
俺たちは 選んで
ここにいるんだ!
 心の声 
そいつを侮辱する事は
誰だろうと 許さねぇ!
俺たちは エルダー・テイルで過ごした…
長い長い間 過ごした。
そこに 強敵が現れて
俺たちは 剣だの 弓だの担いで
突撃するんだ。
わ~って叫んで
ガキみたいに 突っ込むのさ。
そんでもって
勝ったり 負けたりするんだよ。
ああ そうだよ。
全部 サーバーの上で
ビットが パカパカ1になったり
0になったりしてるだけだよ。
それが ど~した。 俺たちは
そのために 血道を上げてんだ。
それが すげ~んだ!
勝ったら 大喜びで戦勝記念だ。
幻想級を山分けで 乾杯だ。
負けたら 悔しくなって
そのまま反省会で
日をまたぐまで 騒ぐんだよ。
くだらねぇって言いたければ
言えよ。
おもちゃだろうが 安ピカだろうが
関係ない。
俺らが すげぇって思って 俺らが
時間をぶっ込むって決めたら…
それは 本物なんだよ!
はぁ…。
 心の声 
で 俺たちは そのレイドに負けた。
犯すべからざる 神聖なものに。
それで どうする?
俺は… 俺は こいつらに
何て言えばいい?
何が言える?
だって 俺たちは それだろう?
そういうのだったろう?
いろいろ持ってる奴の事なんか
知ったこっちゃねぇよ。
 心の声 
て なんだよ これ?
何言ってんだ 俺?
小器用に愛想よく暮らしていける
奴は なんでも持ってんだから
そういうので やってきゃ
いいじゃねぇか。
 心の声 
なんの話だよ。
お前ら そういうの
持ってるのか?
 心の声 
分かんねぇ。
なんでもいいよ。 ドコでも行って
誰とでも仲良くなれるようなさ。
 心の声 
けど 俺には
もう こんな事しか…。
賢さでもいいし 格好良さでもいい
明るい性格でも いいし
おもしれぇギャグでも いいよ。
何でもいいから そういうリアルが
キラキラしてる奴の キラキラってのをさ
持ってるのかよ…
俺は ね~よ。
一個も持ってね~よ。
俺はさ
今まで ずっと言わなかったし
言えなかったけど
お前らが 友達だよ。
…え?
だって俺 ゲームがなきゃ
友達 作れねぇもん。
カッコ悪いなぁ 俺。
だっせぇ。
…でも ゲームがあったから
やってこれたんだよ…
ゲームがあったから
お前らの考えが 分かるんだよ。
ピコピコやって あぁ こいつは
回復して欲しいんだな とか
こいつは後ろに下がってるけど
本当は前に出てぇんだな とか
こいつは遠慮しがちだから
言いだせないけど
本当は この魔法が強くなる
腕輪が欲しいんだな とかさ。
それだけじゃねぇよ。
こいつは
仲間思いの奴だなぁ とか
臆病なのに
声 振り絞ってんだなぁ とか
疲れてるのに 今日は気合い入れて
ログインしたんだなぁ とか
そういうのが 分かるんだよ。
俺には 本当に分かるんだよ。
 心の声 
そう。 そうなんだ。
エルダー・テイルは 俺に
たくさんの事を教えてくれた…
他人の気持ちが分からない。
独善的。 思いやりがない。
協調性がない。
堪え性がない。 空気が読めない。
人の輪に 加わろうとしない。
そう言われ続け 自分の方からも
他人とつるむのを拒んでた。
そんな俺でも エルダー・テイルの中じゃ
少しは
誰かと つながる事ができて
そして そいつを
大事にしているかぎり
エルダー・テイルは たくさんの秘密を
明かしてくれたんだ。
最初に知ったのは 連携だった。
うまくいく奴も いる。
そうでない奴も いる。
いい腕の奴も
下手くそな奴らも…
でも大事なのは 俺が
相手に合わせるって事だった。
下手に思えた奴でも
そいつの やりたい事を
こっちが
分かってないだけだったりした。
そして レイドを始めた。
どういう訳か
俺が ギルドマスターになっちまって…
次に知ったのは
バカ話で盛り上がった夜は
不思議と
勝率が上がるって事だった。
体調がいい仲間や
悪い仲間がいる。
悩みを抱えている仲間も
当たり前の事だ。
みんな 自分と同じだ
という事が分かった。
仲間の生活に関心を持ち
相手が何をして欲しいのかも。
そして俺は 周りに尋ねる事と
寛容さを知った…
それは 仲間たちが
俺の癇癪を我慢するのを
覚えたあとだった…
レイドギルドの多くは 短命に終わる。
レイドの結果
アイテムを手に入れたとしても
誰の物になるかは 分からない。
その分け方に
不満を持つメンバーも出てくるし
損得勘定や ギスギスした人間関係も
生まれてくる。
でも 俺たちは
話し合う事を覚えた。
俺は 仲間たちには
何でも正直に話したし
仲間たちも 俺の短気を許して
信頼してくれた。
そして… シルバーソードの名前は
新進気鋭のレイドギルドとして
エルダー・テイルの世界で
知られるようになっていった。
(ウィリアム)
だから 今だって分かるよ。
…もう終わってるって感じだろ。
ゲームオーバーだ。
正真正銘の終わりって
気分だよな。
そうかもしれねぇよ。
そうかもしれねぇけど…
俺は この世界に来た時
ぶっちゃけ うれしかったよ。
え?
お前らだって
少しくらいは そうだったろ?
本当に100% 嫌だった奴なんて
ここには いないんじゃないか?
だって この世界は
エルダー・テイルなんだぜ。
俺らが アホみたいに入れ込んだ
あの世界だ。
俺らが 誰より得意な
レイドの世界だ。
これは イケるんじゃねぇかって
思ったよ。
(ディンクロン)ウィリアム!
(エルテンディスカ)ギルマス!
おう。
(ウィリアム)
でも そんな事より なにより
俺 お前らと一緒で
うれしかったよ。
お前ら ゲームのままだもんな。
俺もなんだけどよ。
そんなのは どうでもいいか。
一緒にレイド 出来りゃいい。
この世界には 俺たちを
馬鹿にする奴は 誰もいねぇ。
でも だから 負けても逃げちゃ
駄目なんだよ 俺らはさぁ!
勝てねぇかもしれねぇ!
まぁ 勝てねぇだろ。
十中八九 負けだろ。
でも 駄目なんだ。
絶対に認めちゃ駄目な事って
あんだろ。
だいたい それで帰って
どうするんだよ。
なにすんだよ?
俺らから コレとって
何が残んだよ。
他の連中がドン引きするくらい
エルダー・テイル やって来たんだぞ。
俺の この二年は
丸ごと エルダー・テイルだぜ。
朝から晩まで
その事 考えてた。
飯食うのも 寝るのも
風呂 入るのも
全部 そのために
やってたんだ。
勉強するのだって
エルダー・テイルのためだった。
僕もだよ。
ふ…。
(ウィリアム)
ド廃人だって 言いたきゃ言え。
俺は ドン引きゲーマーだ。
レアアイテム一個で 一晩中 大喜び
できるほどの 社会不適合者だ。
クソ本気で やって来たんだよ。
でも だから たかがレイドボスが
ニ体や三体 増えたくらいで
逃げ出せねぇ。
だいたい逃げて ドコ行くんだよ?
逃げた先で ゲームを馬鹿にして
生きるのかよ!?
レイド やめたら
友達 出来るのかよ。
無駄な時間
使っちゃいましたねぇ~って
半笑いかよ。
死ねよ そんなクソは。
(デミクァス)無茶苦茶だな。
逃げずに
死に続けろってのかよ?
あんな思いを
あと何度 味わえってんだ。
…デミクァス。
勝てる見込みがありゃ いいぜ。
でも んなもんは もうねぇ…。
俺らのやってる事は
ただの お遊びだ。
世界が変わったって同じだろ。
俺たちァ 何の役にも立たねぇ
穀潰しだ。
その遊びにすら
勝てねぇんだからな…。
それでも てめぇは
逃げるなってのか?
俺は… 逃げた事があるよ。
モヤモヤしてたけど
やっと分かった…。
アキバの街で
最初の円卓会議だった。
あの時 俺は
始まったばかりの この世界で
レイドが やりたくて
しかたがなかった。
 回想 
(ウィリアム)やってられっかよ。
街の治安?
ふん くだらねぇ。
時間の無駄だぜ。
正直 勝ち目がねぇのに
よくやるぜ。
豚野郎どもがって
馬鹿にしてたよ。
俺がやられたら ブン殴りたいほど
嫌な事を 俺がやってたよ。
笑っちまうぜ。 今は分かってる。
俺は 逃げたんだ。
駄目そうだったんで
スルーしたんだ。
 心の声 
それでも…
逃げなかった プレーヤーもいた…。
そいつは…
俺の憧れだった…。
かつて 難関クエストを舞台に
ギルドも作らず
大手と互角に渡り合った
伝説のパーティー…
放蕩者の茶会
デボーチェリ・ティーパーティー…。
そいつらの噂を聞いちゃ
胸を躍らせてた。
いつか 俺も
入れるようになるんだって…
でも… 俺が レベル90になる前に
解散しちまった…
メンバーは ギルドも作らず
ソロに戻って てんでバラバラ…
それじゃあ なんのために伝説を
残したのか分からねぇって…
そう思ってた…。
意味ねぇ 出来ねぇ 勝てっこねぇ
って俺が思ってたレイドに 奴は…
シロエは勝って アキバをつくったよ。
街をつくった レイドだぜ。
馬鹿にしたもんじゃねぇ。
すげえ指揮官だって思ったよ。
 心の声 
当然だ。 俺が…
この俺が 憧れてたんだ。
只者な訳ねぇ。
そのシロエが 頭下げて来たから
うれしくて
二つ返事で 引き受けたんだ。
勝ち目がない事ぐらい
当たり前だ。
腹ぐろ眼鏡が
持ち込んできたんだから
全員 ひどい目に遭うのが
当たり前なんだよ。
あいつが 面倒くさいドSなんて
顔見りゃあ分かんだろ…
でも 楽しいと思ったんだよ。
勝てたらいいなってな。
理由は… 俺らが
クソゲーマーだからだっ!
…やってみっか。
あぁ もう一回ぐらいならな…。
うむ…。
 心の声 
マジで 俺は馬鹿だ…。
でも 勝ちてぇんだ。
いや… こいつらを…
仲間を 勝たせてやりてぇ…!
ギルマス か…。
(直継)よう シロ。 起きたか。
(シロエ)…うん。
…いいギルドだな。
うん…。
 心の声 
僕は…
僕に あんな事ができるかな?
ミノリやトウヤが 悲しんでいたら…
五十鈴やルディが 泣いていたら…
僕に あんな素直な言葉で
みんなを励ますなんて…。
もし アカツキが…。
(アカツキ)余計な心配をするな。
守るのは 私の仕事だ。
ふ…。
(てとら)勝たせてあげたいな。
ね シロエさん。
お前 いい事 言うな。
ボク 一流アイドルだからね。
で なんか考えがあるのか?
参謀。
直継には 言わなきゃいけない事が
あるんだ。
てとらさんにも。
ウィリアムにも みんなにも…。
どうして このレイドが必要なのか。
この奥に 何があるのか。
なんのために
僕が 黄金を求めているのか
ちゃんと言わなきゃいけなかった。
みんなに甘えて
一人で やろうとしてたんだ…。
もし許してくれるなら
多少は マシな作戦がある。
でも 多少マシなだけだ。
勝率は?
…15%。
そりゃ上等だ。
完璧だね[外:AEEFFDEBFBEEFCC]
そして 菫星さんたちにも
言わなきゃならない。
僕らの願いを
ヤマトの大地の事を。
今度こそ 目を見て話すんだ…。
じゃあな。 なる早で帰るからよ。
(念話・マリエール)きばってな。
チキン入りのお雑煮
用意して 待っとるから…。
あぁ 約束だ祭り!
あれから一週間 準備は整った。
これから 最後の戦いだ。
年越しソバは お預けだな。
(念話)七草がゆには戻るからって
班長に 伝えておいて。
みんなにも 話さなきゃ
いけない事が あるんだ。
分かった。
主君 待っているぞ。
うん 必ず帰る。 みんなの所へ。
お前ら 気合い入れて行け!
俺たちの旗を 立ててやるぜ!
(一同)おぉ~!
 心の声 
そうだ 必ず帰る。
みんなの所へ… そして…。
(エンディングテーマ)
この子は普通だと思うんですけど。
普通 普通。